一言:「私はマジョリティには属していますが、正しく武装解除しています。」そういう姿勢がいいのかもしれない。
・初学者にはややとっつくにくい社会学用語が散見される。その用語を理解できる人は、すでにある程度ジェンダー論への心得があるのではないだろうかと見受けられる。
・映画作品の引用も多くみられ、理解の一助とはなるが、すべて観てないと、やや理解が浅くなるかもしれない
という2点は気になるところだったが、本書がターゲットとしている「問題意識を持ちながらも、マジョリティに属していて戸惑う人」に対して、どのような立ち位置、与し方があるかというヒントになる内容だった。マジョリティ=ヘテロ男性が一般的であるがゆえに、男女格差の部分でもまっとうな姿勢という部分が注目されるが、それ以外にも、性的少数者、人種などの視点からの言及もあり、複合差別の部分にもアプローチされていた。
ポストフェミニズムの章で危惧されている、フェミニズム不要論も、「SNSなどの大きな声によるマジョリティからのプレッシャー」であり、の結果という構造があるかもしれない。そこに乗っかって、フェミニズムをただただ忌避してしまうことは、「まっとうさがない姿勢」だと思う。正しく理解していかなければならない。
(そのためにも、初学者に対する社会学用語のとっつきにくさは、解消してほしいというのが本音である。社会学に対してになるが。)