Dftf ver2.0

某家庭科教員の個人記録。

空と宇宙の食事の歴史物語:気球、旅客機からスペースシャトルまで 作者:リチャード・フォス

一言:タイトルだけでワクワク。

 

翻訳書なので、読みづらさも多少はあるが、飛ぶことの発展と、そそれに伴う食事の歴史が見事に絡み合った面白い内容だった。

飛行船や飛行機に食事を持ち込む際の、容量制約、加熱・保存、品質とコストの折り合いなどなど、頭を悩ませる要素がたくさんあり、それに対処する、食材の工夫、調理の工夫、容器の工夫、機内設備の工夫が、失敗や成功例も含めて随所に書かれ、非常に興味深く読み進めた。

日本の航空会社の食事事情も、他国と並列に書かれ、位置づけなどを俯瞰できておもしろかった。

そして飛行機からスペースシャトルや宇宙ステーションでの食事へと話がつながる。求めるは機能的な食事だが、そこで見つめ直されたのは、栄養補給だけではない食事の大切さだったというまとめは、とても印象深い。(これは授業で使える(笑))。

タイトルからは、食事をいかにシステム化していくのかという見通しで読み進めていたはずが、上手に裏切られ、食事の意義や本質を再確認する壮大な物語になっている点が見事である。