一言:「なぜ一列に歩いているのか」だけではない、絵本のいろんな構成のすごさがみえてくる。引用されている絵本を一度すべて読んでみたい。
タイトルそのままに興味を惹いて読んでみたが、とてもしっかりと類型をつくって分析をしている研究内容だった。
積み木型、入れ子型。そのように類型をとらえて読んではいなかったが、改めて言われると、なるほどと膝をうつ。そして誰しもが感じたことのある「自分が絵本のストーリーに溶け込んで心を打つ感覚」(本書では「溶解体験」と呼んでいる)のおもしろさ。均衡回復のストーリー、折り重なりを経てのカタルシスに向かう表現、ヒトではなく動物を用いるといった要素が、その体験を可能にする装置となっている。
絵本をこんなにも分析的に読むこともそうないと思うので、新たな視点が拡がる一冊であった。