一言:「まったくだよ。」に、” ん だ か ら さ ”のルビ。
これぞ膝を打つ単純明快な「岩手県民の同意」表現。お見事。
某中学入試問題の題材となり、読んで引き込まれたから、というなんとも主体性のない出会いだが、一晩で一気に読み終えた。読後にここまで印象深く残る小説もそうない気がする。震災当事者ではないが、生まれ育った地元の話だから?
おこがましいけれど、「震災の傍ら」にいたというところに重ねてしまう自分もいる。
もちろん小説なのでそのものは体外に出された文章・言葉なのだけれど、文章に”心の声”感がとても感じられる。
10年の歳月で、背負っていたもの、背負わされていたと思っていた気持ちが、どう変わったのか。
言葉にすれば 「トーミの語り」
言葉にしなければ、「伊智花の花降る絵の見え方」
この2つを最後に持ってきて、言葉だけでは表しきれないこと、絵だけでは表しきれないことをうまく補完し合っているような気がした。